ID-COOLING「IS-50X」レビュー。高さ57mmロープロクーラー
高さ57mmに抑えつつも、TDP130Wに対応したロープロファイルCPUクーラー、ID-COOLONGの「IS-50X」を入手しましたのでレビューしていきたいと思います。
120mmファンを搭載したロープロCPUクーラーですが、ファンの固定位置を変更できるという このクーラー独特で面白い機能があります。(後述)
2019/9現在、日本での販売はまだありませんが、今回はeBayで販売されていたため個人輸入してみました。価格は送料等込みで約7,000円。
発送元は韓国でした。
日本での実売価格も意外と同等になる可能性はありそうですね。
ちなみに、ほぼ同型番の「IS-50」というモデルもありますが、スペックは同じで色が異なるだけです。こちらの方はAmazonで販売されていることもあるため入手難度は低めです。
目次
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参考画像
まずは公式サイトの画像を参考に貼ります。
参照:ID-COOLING
スペック
「IS-50X」のスペックを確認していきます。
対応ソケット | Intel | LGA 1151/1150/1155/1156 |
AMD | AM4/FM2+/FM2/FM1/AM3+/AM3/AM2+/AM2 | |
対応TDP | 130W | |
サイズ | 120x122x57mm(LxWxH) | |
ファンサイズ | 120x120x15mm | |
ファンスピード | 600-1600RPM(PWM) | |
最大エアフロー | 53.6CFM | |
最大静圧 | 1.36mmH2O | |
最大ノイズ | 30.2dB |
開封と同梱品の確認
いわゆる開封の儀です。(一度言ってみたかった。)
ID-COOLING「IS-50X」を開けていきます。
外箱
開封前の外箱です。封がしてあるシールは一度剥がされているような気がします。
発送元の韓国で中身を確認されたのではないかと思います。
海外からの輸入の場合、こういったことはあり得ますので、中身の破損が激しかったりしなければそこまで気にしなくても良いでしょう。
開封
いざ、開封です。
箱を開けると白い箱(部品入れ)の上に取説が載っていました。
この取説は英語と中国語に対応しており、 日本語には対応していません。
よく見ると白い箱の角が少し潰れているのが分かります。
おそらく、輸送中に破損したのでしょう。
中身の「IS-50X」本体が無事であれば特に気にしないことにします。
(あまり無事ではありませんでしたが。)
白い箱の下に「IS-50X」本体があり、それぞれ取り出します。
同梱品の確認
白い箱の中身を確認していきます。
画像上の袋の中には各種ブラケット、25mm厚ファン固定用のネジ、グリスが入っておりブラケットは Intel用、AM3用(AMD)、AM4用(AMD)が用意されています。
下の袋左側はブラケット固定ネジで、右側は「IS-50X」をマザーボードに固定する際のワッシャとネジです。
25mm厚ファン固定用のネジが用意されているのがありがたいですね。
ケース内に余裕があれば是非とも25mm厚ファンに交換したいところです。
外観チェック
このクーラーは120mmファンが取りついていますが、マザーボード上のパーツ類との干渉を回避するため、ファンよりもヒートシンクのサイズの方が小さくなっています。
受熱ベースには5本のヒートパイプがダイレクトタッチで取り付けられています。
次に、「IS-50X」のサイド側です。
ヒートシンクに対してファンが横にはみ出しているのが分かります。
ここでちょっとした問題が発生。
ファンのフィン(というかベアリングかな?)が傾いていて少しはみ出してしまっています。
これは海外からの輸送であるため仕方のない部分もあります。
それに、最終的に私はnoctuaファンに交換するためこの点は問題ありません。
ファンがネジ固定でファンの交換が容易というメリットを活かしましょう。
高さの実測
公称スペックより高い?
高い、というより傾いています。実際に測定してみました。
まずはファンが取りついた状態で高さを測定。公称スペックではネジ込みで57mmです。ところが、ヒートパイプの根元側は実測値約58mmとなりました。
そして、反対側を測定すると約56.5mmと逆に低くなっています。
これはヒートパイプが傾いているのだろうと推測。そこで改めてファンを取り外して測定し、ファンが原因でないということを確認します。
結果、ファン有りの時と測定誤差はありますが、ファンを外した状態でも2mmほど高低差があることが分かりました。
この傾きが品質のバラつきなのか、輸送により曲がったのかは定かではありません。(少しぐらいの衝撃でヒートパイプが曲がるということがあるのでしょうか??)
非常に気になるところではありますが、この状態でマザーボードに取り付けた結果、最終的には無事取りついたため今回は良しとします。
ただし、ITXケースでCPUクーラー搭載エリアに余り余裕がない場合には注意が必要となるかもしれません。
とりあえず、日本発売を待った方が良いでしょう。
変更可能なファン固定位置
実際に「IS-50X」を取り付けていく前に、本CPUクーラーの特徴的な機能を説明して行きます。
このCPUクーラーですが、ファンの取付位置を変更でき、「メモリ側を冷やす配置」と「 IOパネル側に寄せることでメモリとの干渉を避ける配置」の2種類を選べるようになっています。
具体的には 以下画像のように取りつきます。
(メモリ側に寄せた時の画像はメモリが干渉しているため、浮いています。)
ファン固定位置の変更方法
ヒートシンク横の長いネジ4本を緩めて抜いていきます。
ネジを抜いてファン固定ブラケットを外した状態が以下です。
外したブラケットを逆の位置になるように取り付けて、ネジ固定していきます。
ブラケットの丸穴とヒートシンク側の丸穴の位置があまり合わずネジが締めづらいところがありますが、そこはがんばって(無理やり)取り付けていきます。
「IS-50X」のマザーボードへの取付
ここからは実際にマザーボードに「IS-50X」を取り付けていきます。
メモリとの干渉に注意
このCPUクーラーは上でも書いた通りファンの取付方法を2通り選べますが、メモリ側に寄せた状態だと、メモリに干渉する可能性があります。
実際に私が使用しているマザーボードASRockの「Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac 」とヒートスプレッダ付きのCorsairメモリ「 CMR16GX4M2C3600C18 」では、メモリと干渉してしまいました。
ヒートスプレッダ無しのメモリを持っていないため評価できていませんが、ヒートスプレッダ無しであればまず問題ないでしょう。
もし干渉してしまった場合には、上述したように ファン固定位置を変更しましょう。
マザーボード固定ブラケットの取付
各CPU(マザーボード)に対応したブラケットをCPUクーラの受熱ベース側に取り付けていきます。今回はAM4ソケットのマザーボードであるためAM4対応のブラケットを取り付けます。
ここで、忘れずに受熱ベースに貼ってある保護シートを忘れずに剥がしていきましょう。
グリス塗り~CPUクーラー取り付け
使用するグリスはいわゆる熊グリスThermal Grizzlyの「Kryonaut」です。
これを米粒大の大きさにCPUのヒートスプレッダ中央に適当に盛って、CPUクーラーを載せた後に軽くグリグリしていきます。
ファンの固定方法は既にIOパネル側へよせるように変更しています。
(なお、グリスを塗った時の写真は撮り忘れるという失態を犯しました。)
ここからマザーボードをひっくり返してCPUクーラーを固定していきます。
使用するネジはこちらで、CPUクーラー固定用のネジとワッシャーです。
ひっくり返してまずは対角に軽く固定し、逆の対角のネジを軽く固定。
そのあとに各ねじを増し締め、一本一本少しずつ締めていき均等にトルクが掛かる(締まる)ようにしていきます。
基本的なことですが、一本目を一気に締める→次のネジを一気に締める→・・・というネジの締め方はは力のかかり方が片寄るためやめた方が良いでしょう。
バックプレートなどを使用しないネジ固定であるため、 マザーボード裏面の素子との干渉を気にしなくて良いというのはメリットだと思います。
最後にマザーボードをケースに固定して閉じます。
私が使用しているケースFractal Design Node 202では吸気穴の範囲内にファンが収まっていない状態ですが、気にせず進めます。
ちなみに、ファンが傾いていた影響と思われますが、ケース内部のプラスチック部分とファンが干渉したためケース内部のプラスチック部分を一部切り取ることで対応しました。
おそらく、ファンやヒートパイプの傾きの無い正常品であれば干渉しないでしょう。
各種評価
ここからは冷却性能やノイズなどを確認していきます。
評価環境
ベンチ台を持っていないため、実際のケースに入れた状態での評価になります。
CPUはTDP65WのAMD Ryzen 3700X、ケースはスリム型のMini-ITXケース、Fractal DesignのNode 202を使用しています。
Ryzen 3700XはTDP65WのCPUですが、デフォルト設定の場合約90Wまで消費電力が上昇しますので、参考にはなるのではないでしょうか。
ケース | Fractal Design Node 202 |
マザーボード | ASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac |
CPU | Ryzen 3700X |
グラボ | MSI RX580 Armor Mk2 (ファンをnoctua NF-A12x25PWMに交換) |
メモリ | Corsair CMR16GX4M2C3600C18 8GB x 2 (3200Mhz運用) |
CPUクーラー | ID Cooling IS-50X(ファンはNoctuaのNF-A12x15 PWMに交換) |
PSU | Silver Stone SST-SX600-G V2 |
SSD① | WD 2.5” Blue 500GB |
SSD② | WD M.2 Blue 500GB(SATA) |
HDD | 東芝 2.5” MQ04ABD200 2TB |
ケースファン | 排気用 noctua NF-A4x20 PWM(マグネット貼付け) 2個 |
比較対象として、同じくID-COOLINGの高さ30mmでTDP100W対応のロープロファイルクーラー「IS-30」のファンをnoctua NF-A9 PWM(25mm厚ファン)に交換して高さ42mmにした状態のものと比較しました。
CINEBENCH R20実行時の温度
測定方法はHWiNFO64を使用し、各数値をモニタリング、グラフ化しています。
まずはCINEBENCH R20を実行した時の温度をTDP100Wの「IS-30」と比較しました。
CPUの挙動は「AMD Ryzen Master」でのデフォルト設定を使用しています。
CPU温度
最大温度で比較すると、「IS-30」が87度で「IS-50X」は72度と、なんと15度も低下しました。
(ベンチマークそのものも少し早く終わっていますね。)
【追記】「IS-50X」の付属ファンをnoctua「NH-A12x15 PWM」に交換した時の温度もグラフに追加(緑色の線)しました。
ほぼ誤差レベルなのですが、温度の上昇が少し緩やかになっているのが分かります。
マザーボード温度
マザーボード上の温度センサ「Mother board」を比較していきます。
こちらも「IS-30」31度に対し「IS-50X」42度と12度低下しています。
メモリ温度
メモリの温度はほぼ変わらずに32~33度でした。
変化ないため、グラフは貼りません。
その他
その他ストレージなどの温度も全体的に低下していますが、CPUクーラーの影響かと言われると関係性が不明であるため不記載としておきます。
OCCT実行時の温度
OCCT実行時は「IS-30」は90度を超えて実行中に停止。
それに対し「IS-50X」は30分続けても76度以内に収まっていました。
ノイズ
ノイズについては測定する機器がないため感覚的な話になってしまいますが、フル回転でも変な高音などはなく、思ったより静かでした。
スペックだけで見ると最大ノイズ30dBですが、同じく30dBのCRYORIG「C7」と比較すると明らかに静かです。
おまけ(noctua NH-A12x15 PWMに交換)
「IS-50X」に付属のファンに特に不満はないのですが、元々noctuaの「NH-A12x15 PWM」に交換予定であったため、予定通り交換しました。
目的は静音化であり、 ついでに温度も下がればラッキーぐらいの気持ちで交換しました。
結果は既にCPU温度の項目で書いていますが、温度については誤差レベルの差しか見られず、上昇が緩やかになりました。
スペック比較
一応、「IS-50X」付属のファンとnoctua「NH-A12x15 PWM」のスペックを比較すると、「NH-A12x15 PWM」の方がエアフローと静圧が上昇しつつ静音性も上がっているため、(色を気にしなければ)交換することでメリットしかありません。
IS-50X付属ファン | NH-A12x15 PWM | |
ファンサイズ | 120x120x15mm | 120x120x15mm |
ファンスピード | 600-1600RPM | 450-1850RPM |
最大 エアフロー |
53.6CFM | 55.5CFM |
最大静圧 | 1.36mmH2O | 1.53mmH2O |
最大ノイズ | 30.2dB | 23.9dB |
まとめ
以上で、ID-COOLING「IS-50X」のレビューを終了します。
最後に良い所/イマイチな所をまとめていきます。
良い所
・高さ60mm未満の57mmで対応TDPが130W
・TDP130W対応を謳っているだけあって、やはり冷える
・選べるファンの固定方法
・CPUクーラーの固定方法はバックプレートを使用しないネジ固定式
・ファン交換が用意なネジ固定式(個人的に重要)
イマイチな所など
・2019/9時点で日本での入手が困難
・ヒートパイプやファンが曲がっている(日本での購入時は問題ない可能性あり)
価格については日本での価格が未定であるためノーコメントとしておきます。
本来であればTDP100W以上のCPUでも試したいところですが、ITXマンの私はTDPの高いCPUを持っておらず(というか現状Ryzenしか手元に無し)評価ができないのが残念なところです。
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