デスクトップPCを海外へ持ち出す方法や注意点など。

2020-01-03

プロフィールにも書いてありますが、私は出張が多い為デスクトップPCを出張時に国内/海外へと持ち出しています。
海外へ持ち出そうとする人もあまりいないとは思うのですが、 実際にどうやって持って行っているのかという内容を主軸に実際に持って行った際の注意事項やトラブルなどを本記事で書いていきたいと思います。

簡単に手順を説明すると
小型(スリム)PCを選定し、大き目のスーツケースに入れる→空港で預け荷物として預ける。
という流れになります。

なお、私がデスクトップPCを持ち出したことがあるのは海外ではフィリピンと中国(香港経由)です。
最低限の英語は出来た方が難癖をつけられた時の対応が軽くなると思います。

(注)国によって荷物検査等の基準が異なると思いますので、あくまでご参考まで。

目次

必要なもの

まずは実際にデスクトップPCを海外に持っていく上で必要なものの準備です。
最も重要なのは スーツケースに入るサイズのPCケースで自作もしくはスリムPCを購入することで、次にPCケースを入れるためのなるべく大きなスーツケースとなります。
紹介する順序は①スーツケース→②PCケースとなります。

私の場合、82mm厚で310mmまでの長さのグラフィックボードが搭載可能なPCケース「Fractal Design Node 202」を選定しました。

↓こんなスリムPCです。

大き目のスーツケース

スーツケースの片側にPCケースを入れるため、なるべく大きく深さが十分なスーツケースを選びます。
PCケースを小型にするのであればスーツケースも小さくて問題ないと思います。

私が購入したスーツケースはこれで、タイムセールで安くなっている時に購入しました。ご参考まで。
似たようなスーツケースは多いので安い時を狙って購入しておくというのはアリかと思います。






このスーツケースの場合、片面(フラットな方)の深さが約140mmとなっています。

スリムタイプのPCケース

スーツケースの深さが約140mmとして、梱包材等の余裕をみて出来るだけ厚みの少ないもの、具体的には幅が100mm以下でなるべくスペックの高い構成が組めそうなPCケースを選定しました。
最終的には幅82mmの「Fractal Design Node 202」を選定しましたが、Silverstoneの幅87mm「ML08」「RVZ02」、105mm「RVZ03 シリーズ」あたりも厚みは100mm超えとなりますが候補になりました。

例えば、In Winの「Chopin」などのもっと小さなPCケースやベアボーンであればどんなスーツケースでも入れられるのではないかと思います。

また、 PCを自作せずに購入するという場合にはMSIの「Tridentシリーズ」などのスリムPCであれば薄いモデルで幅が72mmとなっているので問題なくスーツケースに入るのではないでしょうか。

↓これが実際に海外出張中のホテルで使用している時の画です。
実際にはヘッドセットまで持っていくことはあまりありませんが。

参考スペック

参考までに「Fractal Design Node 202」で組んだPCのスペックを提示しておきます。

ケースFractal Design Node 202
マザーボードASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac
CPURyzen 3700X
グラボMSI RX580 Armor Mk2 (ファンをnoctua NF-A12x25PWMに交換)
メモリCorsair CMR16GX4M2C3600C18 8GB x 2 (3200Mhz運用)
CPUクーラーID Cooling IS-30 (ファンはNoctuaのNF-A9 PWM 92 x 25mmに交換)
PSUSilver Stone SST-SX600-G V2
SSDWD 2.5” Blue 500GB + WD M.2 Blue 500GB(SATA)
HDD東芝 2.5” MQ04ABD200 2TB
ケースファン①吸気用 noctua NF-A12x15 PWM(マグネット貼付け)
ケースファン②排気用 noctua NF-A4x20 PWM(マグネット貼付け) 2個

梱包

このスーツケースとPCケースでどのよう梱包していくかを説明していきます。

梱包【PC内部の保護】


まずはスーツケースに入れるための梱包となりますが、PC内の衝撃に弱いところを保護するために主にコネクタ周りに衝撃がいかないように緩衝材を詰めていきます。
特にマザーボード直上のCPUクーラー回りとグラフィックボードの表面/裏面に緩衝材(プチプチマットなど)を必要な分だけ挟んでいきます。
この辺りは使用しているPCケースや搭載パーツによってもかわってきますので調整お願いします。
更にHDDなどを外して、手荷物として持っていくというのも良いと思います。

↓画像では変なヒートスプレッダが貼り付けて有ります気にしないでください。

この画像ではCPUクーラーしか保護していませんが、適切な場所に梱包材(プチプチマットなど)を詰めていきましょう。

梱包【PCをスーツケースに収納】

次はPC内部ではなく、ケース全体を保護してスーツケース内に収めていきます。まずはケース全体をプチプチマットで丸めます。
次にその状態のPCをスーツケースの所定の場所に収めますが、その前に衣類などを敷き詰めます。また、 PCの角を保護するため追加の緩衝材を詰めていきます。特に角の部分は厚めの緩衝材を詰めることを推奨します。
↓角に大き目の緩衝材を詰めた状態です。

梱包仕上げ

服などが映っていて申し訳ないのですが、赤丸部分の隙間に靴下や下着を詰めてPCを固定しています。
また、画像左側には服が映っていますが服の下にカップヌードルなどを緩衝材代わりに仕込んでいます。
カップラーメンは出張のお土産としても気に入られますし、自分の非常食にもなって更に軽い為隙間を埋めるのにお勧めです。
最後に追加の緩衝材をPCに乗せて完了となります。

(注)しっかり梱包しても壊れる可能性はありますので、ある程度の覚悟は必要です。

海外への持ち込み方法

梱包が完了したところで実際にデスクトップPCを持ち込む際の手順を紹介していきます。

まずは、事前知識としてマザーボードに搭載されている ボタン電池について説明し、あとは実際の空港でのチェックイン時の注意点などを書いていきます。

マザーボードのボタン電池について

マザーボードにはボタン電池(リチウム電池)が取り付けられていますが、この電池が機内持ち込みなのか預け荷物になるのかの判断が気になると思います。

結論からいうと、どちらでも大丈夫です。
以下、リチウム電池に関するJAL公式サイトに記載されている手荷物/預け荷物かの判断基準です。

本体に内蔵されている電池の含有量が2g以下
機内持ち込み ◯
お預け ◯

参照:JAL

電池のリチウム含有量が2g以下であれば持ち込み/預け荷物のどちらでも良いという内容ですが、マザーボードに載っているボタン電池の多くはCR2032というもので、リチウム含有量が0.07gとなっています。
つまり、マザーボードのボタン電池を外す必要はないということになります。
そもそもMini-ITXマザーボードの場合電池だけ容易に外せないモデルもありますので、安心してPCを持ち出せますね。

【国内→海外】チェックインカウンター

ここから実際にデスクトップPCを持っていく手順を説明していきます。
空港に到着しデスクトップPCの入ったスーツケースでチェックインしてスーツケースを預けることになりますが、重量に問題がなければそのままチェックイン可能です。
ですが、お互い(顧客と航空会社)のために「デスクトップPCが入っているので壊れ物(Fragile)のタグをつけてください」という申請をしておきましょう。
ここで「デスクトップPC」といっても即座に理解してもらえないことが多々あり、(ノートPCと勘違いされて)「バッテリは外していますか?」と確認されることもありますが、「デスクトップPCなのでバッテリは積んでいません」と言えば問題ありません。ボタン電池については上述の通りです。

海外到着後の荷物受け取り

国内での手続きは正直に申請すれば特に問題ないのですが、海外に到着後、荷物を受け取るとき(レーンでグルグル回って受け取った時)に 自分のスーツケースに【×】マークが白チョークなどで書かれていることがあります。
これはデスクトップPCが現地空港到着後にX線検査で【あやしい!】と判断された証です。
↓イメージ画像

こんな感じの×マークが白チョークで書かれることがあります。

その場合、荷物を受け取った後に税関などの荷物チェックカウンターがあるのでごまかしたりせずに、堂々と荷物を開けて確認してもらい、 「プライベート用のデスクトップPCで自分で組み立て物だ」という説明をしましょう。商用(売り物)ではなく、個人で使うものだという説明ができればまず問題ありません。こういう場面では堂々とする態度も必要となります。
また、PCと言っても通じないことがあり、Computerと説明した方がスムースなこともあります。そこは臨機応変に対応していきましょう。

以上が出国時の手順となります。

(海外→国内)チェックインカウンター

無事にデスクトップPCを海外へと持ち出せたところで、次に日本国内に持って帰れないと意味がありませんので、その手順を紹介していきます。
基本的には日本→海外へ持ち出した時とあまり差はありません。 

海外空港到着後、空港によって順序は異なるかもしれませんが、チェックインよりも先に手荷物検査(X線)が先にあることも多いと思います。その際、スーツケースに入っているデスクトップPCが入っていると「これ何?」と聞かれる場合があります(聞かれずにスルーされることの方が今のところ多いです)。
その場合は上述の入国時と同様 「個人使用のデスクトップPCだ」と答えればまず問題ありません。

ここの関門さえ通過してしまえば、国内へ持ち込むのはほぼ問題ありません。
(*例外あり。後述)

チェックインの際は壊れ物(Fragile)タグをつけてもらいましょう。

あとは飛行機に乗って日本の空港で荷物を受け取って完了となります。

注意点とトラブル事例など

預け荷物重量制限

PCをスーツケースに入れると、当然ですがその分重量が増えます。例えば、私の場合はPCの重さが約7kgです。

【JAL/ANA】
国内線預け荷物の重量制限は 20kg(普通席)
国際線預け荷物の重量制限は 23kg(エコノミークラス)
となっています。

重量制限のルールはは航空会社によって異なり(特にLCC)、 変更される可能性もあると思いますので、PCを持ち出す前に確認しましょう。

この重量を超えると追加料金が発生します。気を付けましょう。

【事例1】チェックイン後に呼び出される

フィリピン出張から帰国する時のマニラ空港での出来事です。

空港入り口のX線検査も問題なく通過、チェックインとイミグレも無事通過してラウンジでゆっくりし始めたところ、空港係員の人に呼び出されました。

「預け荷物の中を確認したいから一緒に来てほしい。」

という内容で、一緒に付いていくことになりました。
連れていかれたのは預け荷物を機内に入れる直前の最終荷物検査場でした。

予想通りPCが検査に引っかかったわけですが、この場合もチェックイン前のX線検査で引っかかった時と同様に「個人使用のデスクトップPCだ」と説明すればまず問題ありません。

このように、イミグレ通過後に呼び出される可能性もあります。
その分時間が取られてしまうというのはありますが、普段入れないところに入れたのは良い経験だったかなと思います。

【事例2】スーツケース破損→CPUクーラー故障

中国出張から帰国する時の事
中国の「深圳福永」からフェリーで香港に入り、そこから日本へ帰国するというルートだったのですが、「深圳福永」での荷物の扱い方が雑だった(と推測)結果、スーツケースがへこんでしまいました。
↓こんな感じ

内側からハンマーで叩いても戻ることはなく、おそらく相当な衝撃がケースに加わったと思われます。
そして、この衝撃の結果当時使用していたCPUクーラー「CRYORIG C7」のファンが故障して回転しなくなってしまいました。
幸いなことに故障したのはCPUクーラーだけであったため被害は軽微だったと言えます。
ただ、この当時は今ほど梱包をしっかりとせずに緩衝材が十分とは言えない状態でした。この事故以来、今の方法での梱包になり、選定するCPUクーラーはファンの交換が容易なネジ固定のものを優先するようになりました。

なお、この破損したスーツケースはJALが無償で修理してくれました

あると便利なもの

モバイルディスプレイ

海外ホテルでの映像出力方法として、モバイルディスプレイを一枚持っていくことをお勧めします。
ホテルでの部屋レイアウトによってはテレビが壁に埋め込まれていて映像入力ポートにアクセスできなかったり、そもそもテレビ周辺にPCを設置しづらい環境だったりすることがあり、 折角苦労してPCを持ち出してきたのにに使えない!という状況になりかねません。

参考までに私が使用しているのがこれ。
13インチのFHDディスプレイです。

最近はモバイルディスプレイの種類も増えてきたので、他にも選択肢はあると思います。






小型メカニカルキーボード

タブレット用などの薄くて小型なキーボードを持っていくのも良いですが、小型メカニカルキーボードがあるとキー入力が快適になります。

私が使用しているのは上海問屋の小型メカニカルキーボード(赤軸)DN-915598です。
価格は約5000円(税込)

Fキーがないのがネックですが、その点を除けばキー配列などは癖が少ないと思います。複数キー同時押し機能(Nキーロールオーバー)なども搭載されていますのでゲームをする上でもこういったキーボードがあると便利です。

ネジ締めドライバ

現地調達やホテルで借りたりすることもできますが、すぐにPCの開け閉めするためにネジ締めドライバを一本スーツケースに常に入れておきましょう。

まとめ

以上、海外にデスクトップPCを持ち出す方法でした。
ポイントとしては冒頭でも述べたようにスーツケースに入るスリムPCケースを選定するところです。
PCがスーツケースにさえ入ってしまえば、トラブルに遭遇することもありますがそこまで難しくないかなと個人的には考えています。
何よりデスクトップPCで海外出張ライフが充実するというのが大きく、我ながらアホだなぁとは思うのですが満足しています。

ちなみに、国内線に乗る場合に気になるのは重量ぐらいでX線検査で引っかかったことは一度もありません。

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