猫グリス「SMZ-01R」のレビュー。熊グリス「Kryonaut」と比較。
プロオーバークロッカー清水氏監修でThermal Grizzlyの「Kryonaut」(通称:熊グリス)クラスの性能を追求しつつ、塗りやすさも目指した「SMZ-01R」が発売されていますが、先日秋葉原のSilverStoneイベントに行った際に購入しましたのでレビューしたいと思います。
ちなみに、この「SMZ-01R」には猫の形をした「シミオシ」シールが付属されており、通称:猫グリスと言われています。
なお、先に温度評価の結論を言うとほぼ同じ結果となりました。
他のレビューを見ると「SMZ-01R」の方が1~2℃低いというような結果も多いのですが、私の環境では下がったようには見えませんでした。
ただ、上がったようにも見えないため同等と言っていい性能のように思えます。
目次
スペック
SMZ-01R | Kryonaut | |
熱伝導率 | 13.2W/m・k | 12.5W/m・k |
粘度 | 90-100pas | 120-170pas |
使用温度範囲 | -50℃~250℃ | -250℃~350℃ |
スペックを見ると分かりますが、高熱伝導率は維持しつつも使用温度範囲を制限することで粘度を下げて、高熱伝導で塗りやすいグリスを目指したとのことです。
更に、パッケージを簡易化することでコストを抑えることを狙っているようです。(価格については後述。)
↓参考画像(どっちもシミオシやないかーい!)
で、実際に塗りやすいのかというと、私は普段中央に適量盛った後にCPUクーラーでグリグリ延ばすタイプなので、塗りやすさについては分かりませんでした。(ごめんなさい・・・。)
見た目で何か分かるかなと思い、同じCPUの上に「SMZ-01R」と「Kryonaut」を同じぐらい乗せて見ましたが、ちょっと色が違うな、ぐらいで柔らかさを表現させることには失敗しました。
左が「SMZ-01R」で右が「Kryonaut」です。
温度評価
評価環境
ケース | Fractal Design Node 202 |
マザーボード | ASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac |
CPU | Ryzen 3700X |
グラボ | MSI RX580 Armor Mk2 (ファンをnoctua NF-A12x25PWMに交換) |
メモリ | Corsair CMR16GX4M2C3600C18 8GB x 2 (3200Mhz運用) |
CPUクーラー | ID-COOLING IS-50X |
電源 | Silver Stone SST-SX600-G V2 |
SSD① | WD 2.5” Blue 500GB |
SSD② | WD BLUE SN500 NVMe SSD(500GB) |
HDD | 東芝 2.5” MQ04ABD200 2TB |
ケースファン | 排気用 noctua NF-A4x20 PWM(マグネット貼付け) 2個 |
評価環境は少し特殊で、スリムタイプのPCケースFractal Design「Node 202」に入れて、ケースを閉じた状態での評価となります。
Ryzen 3700Xの動作はAMD純正OCツール「AMD Ryzen Master」でデフォルトの状態で動作させました。
評価環境の参考画像です。noctuaファンが見えているところがCPUクーラーの位置です。
評価結果
評価方法はCINEBENCH R20(.060)を3周回した時の温度をHWiNFO64(V6.12)でモニターし、グラフ化しました。
結果がこちらです。
青い線が「Kryonaut」で、オレンジ色の線が「SMZ-01R」となります。
「SMZ-01R」の方が最初の温度上昇が緩やかですが、その後はほとんど線が重なっているのが分かります。
途中の温度が急激に上下しているところはCINEBENCH R20を繰り返す際の切れ目になり、開始直後に温度が急上昇していますが、そこは測定がばらつくため無視しても良いと思います。
最初の温度上昇が緩やかというのを見ると「SMZ-01R」がわずかながら有利なのではないでしょうか。
一応、アイドル時は「Kryonaut」が37℃に対し、「SMZ-01R」が36℃ではありましたが誤差レベルと言えるでしょう。
まとめ
以上、「SMZ-01R」のレビューでした。
性能以外で「SMZ-01R」の良い点と言えるのが、グリスのシリンダーが透明であるため 残量が把握しやすいというのがあります。
熊さんグリスは黒いので残量が分かりにくく、少なくなってくるといざ使用する時にドキドキすることがあるのでこれはありがたいですね。
一応、私は「SMZ-01R」を熊グリスの袋に入れて紫外線などの環境の影響を極力受けないようにしています。
あとは、粘度が低いことでクーラーを外すときにCPUごと外してしまう、いわゆるスッポンリスクを減らすことが出来るかもしれません。
長期間使用した際のグリスの状態変化(耐久性)についてはまだ何とも言えません。
価格について
このグリス「SMZ-01R」が紹介される際、「Kryonaut」より安いというのがアピールされますが、現時点(2019/10)ではそれはあくまで少量の場合のようです。
現在、参考までにAmazon価格にはなりますが、少量の2gの「SMZ-01R」が約1,100円、1gの「Kryonaut」が約800~1,000円と確かに「SMZ-01R」が割安になっています。
ただ、量の多い10gの「SMZ-01R」は約3,700円、11.1gの「Kryonaut」が約4,000円と1gあたりの価格はわずかに逆転してしまっています。
とはいっても、同等(以上)の性能でほぼ同価格であれば「SMZ-01R」を選んでも良いと思います。
とりあえず、少量での購入であれば「SMZ-01R」で問題なしと言えるでしょう。
2gあれば、数回のグリス塗り替えは可能だと思いますので年に数回メンテナンス等でグリスを塗り直すなどの用途であれば充分ではないでしょうか。
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