MSI 「Radeon RX 5700 MECH OC」レビュー。RX 580から乗せ替え。

先日(2020/1/25)、Radeon 「RX 5600 XT」が各グラフィックボードメーカーから発売されましたが、米ドル価格の$279に対して日本での販売価格が軒並み税込み4万円を越えるという状況の中、上位モデルのMSI「 Radeon RX 5700 MECH OC」の方が安かったため、勢いで購入してしまいました。

そこで、折角なのでレビューしていきたいと思います。
ただ、レビューと言っても基本的なベンチマークソフトなどを実行した結果ぐらいで、ゲームのFPS等の確認は実施していません。

また、ついでとなりますが前世代で消費電力が同等クラスの「RX 580 Armor Mk2」(同じくMSI)から乗り換えたため、「RX 5700 MECH OC」と「RX 580 Armor Mk2」との比較もしていきます。

目次

スペック

まずはMSI「RX 5700 MECH OC」のスペックを確認していきます。
大して意味はありませんが、比較対象として乗せ替え前の「RX 580 Armor Mk2」のスペックも載せておきます。

  RX 5700 MECH OC RX 580 Armor Mk2
サイズ 232 x 126 x 46mm 270 x 130 x 40mm
GPU
アーキテクチャ
7nm Navi 14nm Polaris
演算ユニット数 36 36
コア数 2304 2304
ベースクロック 1515MHz 1257MHz
ゲームクロック 1675MHz 1366MHz
ブーストクロック 1750MHz 1380MHz
単精度
演算能力
7.95TFLOPS 6.2TFLOPS
ROPs 64 32
VRAM 8GB GDDR6 8GB GDDR5
メモリバス 256bit 256bit
メモリクロック 14Gbps 8Gbps
メモリバンド幅 448GB/sec 256GB/sec
PCIe 4.0 3.0
消費電力 225W? 185W
推奨電源 750W? 500W
補助電源 8pin x1 8pin x1

「RX 5700」のリファレンススペックと比較すると各クロックがわずかに上昇しており、かつ8pin x 1に減少しています。
消費電力と推奨電電に関してですが、MSIが公表しているスペック表では消費電力がリファレンスの180Wに対して225W、推奨電源が600Wに対して750Wと記載されています。

これは同じくMSIの「RX 5700 XT MECH OC」のスペック表を見ても225Wとなっているので、おそらく誤表記で実際には180Wであろうと思います。
実際の消費電力はもっと少なく、150W未満でした

RX 580と比較すると消費電力は同じものの(実際にはRX 5700の方が低い)、順当にスペックが上がっているのが分かります。

サイズに関しても232mmに抑えられており、多くのケースで搭載可能なのではないでしょうか。
ただ、厚みが46mmで少し厚めであるためITXケースに載せる場合にはケースの仕様をしっかりと確認しましょう

映像出力は最近のグラボで多い、DP x 3、HDMI x 1という構成になっています。

開封

それでは、いわゆる開封の儀です。
外箱の外観や同梱品などを確認していきます。

外箱確認

外箱の表面と裏面です。
表面には製品名と保証のシールなど。
裏面には基本スペックや冷却構造、各機能の紹介などが書かれています。

側面には代理店アユートのシールが貼られていました。
代理店には他にアスクもあるようです。

同梱品確認

箱の中身です。

中にはほぼケースサイズの大き目の封筒とその下にグラボが入っている梱包材が見えます。

封筒の中にはクイックユーザーガイド、MSI製品紹介小冊子、MECHラベルが入っていました。
このラベルが意外と大きく、使いどころが良く分かりません。

グラボ本体登場

封筒をどけて開封を進めて行くとグラボ本体の登場です。

中にはシールドバッグに包まれた「RX 5700 MECH OC」本体が見えます。

シールドバッグから中身を取り出すといよいよグラボが出てきました。
2連ファンで長さは232mmまで抑えられているという多くのITXケースで搭載できそうな良いサイズだと思います。

グラボ本体裏面です。

基板を固定しているネジ4本のうち画像右下のネジにシールが貼られていますが、このシールをはがしたり破損した場合には保証が切れてしまうので、気を付けましょう。

本来であれば基板を外して内部コンポーネントの確認などもしたいのですが、初期不良の可能性も否定できないため、しばらく使用して問題なければバラシて確認していきたいと思います。

ベンチマーク

では、ここから本番の各種ベンチマークの結果を「RX 5700 MECH CO」と「RX 580 Armor Mk2」で比較していきます。

評価環境

マザーボード ASUS ROG STRIX B450-I GAMING
CPU Ryzen 3700X
グラボ MSI RX 5700 MECH OC
メモリ Corsair CMR16GX4M2C3600C18 8GB x 2
CPUクーラー CRYORIG C7 RGB
PSU Silver Stone SST-SX600-G V2
SSD① WD M.2(NVMe) Blue 500GB
SSD② WD M.2(SATA) Blue 500GB
SSD③ WD 2.5” Blue 500GB
HDD 東芝 2.5” MQ04ABD200 2TB
ケース GEEEK A40

外観はこんな感じです↓

ついでにGPU-Zも貼っておきます。

FF14 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

ここから各種ベンチマークを実施していきます。
添付画像の1枚目が「RX 580 Armor Mk2」の結果、2枚目が「RX 5700 MECH OC」の結果となります。

FF14 漆黒のヴィランズ ベンチマークの結果は【10628 → 15602で46.8%上昇】

FF15 ベンチマーク

FF15 ベンチマークの結果は【3886 → 6487で66.9%上昇】

3D MARK Time Spy

3D MARK Time Spyの結果は【4598 → 8392で82.5%上昇】

3D MARK Fire Strike

3D MARK Time Spyの結果は【12443 → 20747で66.7%上昇】

War Thunder Tank Battle ベンチマーク

War Thunder Tank Battleの結果は【9043 → 11690で29.2%上昇】
平均FPSも同じく29.2%上昇して最小FPSが144Hzを下回らなくなったのがポイントですね。

SteamVR Performance Test

SteamのVRベンチマークソフトの結果です。

「RX 5700 MECH OC」ではQualityがVery Highに張り付いています。
VRは未経験ですが、このグラボであれば充分楽しめそうですね。

温度、消費電力

温度

FF15 ベンチマーク(FHDの高品質)を3回続けて実行した時のグラボの温度を測定してグラフにしてみました。
測定中の温度はHWiNFO64 v6.20を使用。測定時の室内温度は24℃です。
↓こちらが結果です。

正直驚いたのですが、重いといわれるFF15ベンチマークを連続して65℃未満に収まっています。

消費電力

予想外の温度だったので、消費電力も確認してみました。

測定方法はワットチェッカー等は使用せず、温度と同じくHWiNFO64でGPU消費電力(GPU ASIC Power)を測定、グラフ化しています。

こちらも驚きの結果となりました。

大分ばらついていますが、最大で140Wに収まっています。

なお、グラボの消費電力の測定方法についてですが、AMD HEROSの記事【RX 5700 XTの定格は電圧とクロックが高めに設定されている】でも同様の方法で測定しているので、ワットチェッカー等は使用しなくても概ね正しい結果なのかなと思います。(間違っている可能性もあるので、参考まで。)

ファンノイズ

上述のFF15ベンチマークを連続した際のノイズですが、騒音計を持っていないため体感になってしまいますが、【結構うるさい】と感じました。
ただ、ゲームなどをする際にヘッドセットをしてしまえばあまり気にならない音ではありますし、予想外の低温(消費電力)だったので、ファンの回転数を落とすということも充分可能な性能になっていると思います。

おまけ(ファンの外し方)

レビューと少し違いますが、ファンの外し方を紹介しておきます。
ファンを交換することで更に冷却力と静音性を上昇させる、ということも出来なくはありません。
(見た目は悪くなりますが。)
→グラボのファン交換記事【グラボのファンをnoctuaに交換して冷却、静音性UPに挑戦】を参照いただければ幸いです。

上画像、グラボ側面の赤丸部分のネジを外します。

反対側も同様に2か所ネジがありますので、外します。

以上、この4本のネジだけでファンを外すことが出来ます。
あとはコネクタ(画像赤丸部分)を外せば他のファンに交換することが可能です。
ネジを外す際は長めの精密ドライバーがあると外しやすいです。

まとめ

良い所

  • 公称スペックに対して低い消費電力と温度
  • 「RX 5700」のなかでは長さが232mmで比較的短い
  • VRも可能な充分な性能
  • 多くのゲームでFHD 144Hzを狙えそうな性能
  • 発売日(2019/8)から価格が安定して来て発売直後の「RX 5600 XT」より安価

イマイチなところ

  • ファンをフル回転させるとうるさい
  • 厚みが47mmで若干厚めであるため、ケースによっては干渉する可能性あり
  • HDMI出力が一本だけ

以上、MSI「RX 5700 MECH OC」のレビューでした。
「RX 580 Armor Mk2」からの乗せ換えでしたが、同等の消費電力ということで選定したものの、予想外の結果で明らかに低消費電力、低温化できたので満足度としてはかなり高く、あまりに熱々だったら低電圧化も検討していたのですが杞憂に終わりました。

「RX 5700 MECH OC」はITXサイズというほど極端なショートモデルではありませんが、長さ232mmに抑えられており「RX 5700」の中では短い方に入りITXケースでも充分採用可能かと思います。(ただし厚さ46mmには注意です。)

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